牛丼1杯の株が10.6倍に|『JUST KEEP BUYING』で気づいた15年続けられた理由
2011年に1,099円で買ったゼンショーの株が、2026年9月1日に11,590円になりました。約10.6倍です。
買った理由は、投資戦略ではありません。近所のすき家で牛丼が1杯無料になるからです。
当時、5つの分析基準なんて持っていませんでした。優待がお得そうだったから買った。それだけです。
その株を15年持ち続けた結果を、最近読んだ1冊が説明してくれました。『JUST KEEP BUYING』です。
ただし、この本はマロサの投資の半分を肯定し、半分に警告を出していました。今回はその話を書きます。

マロナ
「マロサさん、15年続けてきたことに理屈がついた、という感じですね。理屈が先ではなく、続けたあとに理屈が追いついたのが面白いところです」
結論|共通しているのは「判断を減らした」ことでした
- ゼンショーは取得単価1,099円が9月1日終値で11,590円に。配当も14円から80円へ増え、取得利回りは7.28%になりました
- 三菱HCキャピタルは取得単価683円で、取得利回り7.46%。26期連続増配が続いています
- 本はインデックス投資を勧め、個別株には警告を出しています。オルカン40%は一致、高配当株60%は反対の立場でした
- それでも15年続いた理由は、握力が強いからではありません。判断を減らす仕組みを作っていたからです
- オルカンは「どの会社を買うか」の判断を捨てました。個別株は「いつ売るか」の判断を捨てました
『JUST KEEP BUYING』が言っていること
著者はニック・マジューリさん。投資顧問会社のデータサイエンティストで、本書は徹底してデータで語る内容になっています。タイトルはそのまま「ただ買い続けなさい」という意味です。
主な主張を、投資に関わる部分だけ整理します。
| 本の主張 | 内容 |
|---|---|
| 株式は買い続ける | 市場のタイミングを計らず、淡々と買い続けることが最も勝率が高い |
| 個別株は避ける | 個別株投資は多くの個人投資家を焼き尽くしてしまう。ETFやインデックスファンドが良い |
| 投資は早いほど良い | 過去データでは、余剰資金は分割せず一括投資したほうがパフォーマンスが良いケースが多い |
| 売ることを考えない | 現金が必要な場合を除き、下落局面でも保有を続ける |
この4つを読んだとき、マロサは少し複雑な気持ちになりました。自分の投資の半分は「その通り」で、もう半分は「やめておけ」と書かれていたからです。
マロナ
「本は自分を全部肯定してくれるものではありません。半分否定されたときにどう考えるかが、読書の一番おいしいところです」
本と一致していた半分|オルカンの毎月積立
マロサの投資は高配当株・優待株60% : オルカン40%の二刀流です。
このうちオルカン部分は、本の主張とほぼ完全に一致しています。
- 全世界の株式に分散したインデックスファンドである
- 毎月自動で積み立てている
- 相場を見て金額を変えたりしていない
- 売る予定がない
本を読んで、この40%については何も変えなくていいと分かりました。 むしろ続けるモチベーションが上がりました。
データで「これが一番勝率が高い」と示されたものを、すでに自動で実行できている。何もしないことが正解だと確認できるのは、意外と大きな収穫です。
本と食い違っていた半分|個別株を安い時に大きく買う
問題はもう半分です。
マロサは個別株について、安くなったタイミングで大きく買うという戦略をとっています。ENEOSは1,130円と970円、ブリヂストンは3,571円と3,125円、東京海上は7,000円以下。買い増しラインを決めて、そこまで待つやり方です。
本の主張と並べると、こうなります。
| 項目 | マロサの実践 | 本の主張 | 関係 |
|---|---|---|---|
| オルカン(40%) | 毎月自動で積立 | タイミングを計らず買い続ける | 一致 |
| 個別株(60%) | 安い時に大きく買う | 個別株は避ける/タイミングを計らない | 食い違い |
面白いのは、この2つが正反対の性質を持っていることです。オルカンではタイミングを計らず、個別株ではタイミングを計っている。同じ人が、同じ口座の中で、逆のことをしています。
それでも15年続いています。次はその理由を書きます。
15年持ち続けた結果|数字で確認します
ゼンショー|牛丼1杯から始まって10.6倍
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 取得単価(2011年) | 1,099円 |
| 株価(2026年9月1日終値) | 11,590円 |
| 騰落率 | 約10.6倍(+954.6%) |
| 買った当時の配当 | 14円 |
| 2027年3月期の配当予想 | 80円 |
| 取得単価ベースの配当利回り | 7.28%(80円 ÷ 1,099円) |
| 現在の株価で買った場合の利回り | 0.69%(80円 ÷ 11,590円) |
買った経緯は別の記事に書いていますので、そちらもよければご覧ください。
ここで注目したいのは取得利回りの動きです。同じ銘柄について今年2月に書いた記事では、取得利回りを約6.3%と紹介していました。今回は7.28%です。
1株も買い足していないのに、利回りだけが上がりました。 会社が配当を増やしたからです。買値は動かないので、増配はそのまま利回りの上昇になります。
三菱HCキャピタル|取得単価683円で利回り7.46%
もう1つの例が三菱HCキャピタルです。取得単価683円に対して、取得単価ベースの配当利回りは7.46%。26期連続増配を続けている会社です。
この銘柄も、買ってから何もしていません。持っているだけで、毎年配当が増えていきました。
マロナ
「取得利回りは、買った瞬間に決まるものではありません。会社が増配するたびに、静かに育っていきます」
最初に買った株は、今の自分の基準では買えません
ここは正直に書きます。
ゼンショーを現在の5基準で判定すると、こうなります。
| 基準 | ゼンショーの数値 | 判定 |
|---|---|---|
| 営業利益率 7%以上 | 6.44%(2026年3月期) | ✕ |
| 総合利回り 3.5%以上 | 0.69%(現在の株価) | ✕ |
2026年3月期は売上高1兆2,640億円(前期比11.2%増)、営業利益814億円(同8.4%増)と増収増益でした。会社としては好調です。それでも営業利益率は6.44%で、当ブログの基準7%には届きません。
そして利回り0.69%。今から買う人にとって、ゼンショーは高配当株ではありません。
つまりマロサが最初に買った株は、今の自分の基準では買えない銘柄です。
理由は単純で、当時は基準を持っていなかったからです。牛丼が1杯無料になるという優待がお得そうだったから買いました。基準は、そのあと15年かけて作ったものです。
これは基準の限界を示しているわけではありません。基準がなかった時期の1銘柄がうまくいったからといって、基準なしで買っていいことにはならないとも思っています。10.6倍になったのは結果です。同じ買い方で失敗した人もいるはずです。
なぜ矛盾したまま15年続いたのか|判断を減らしていました
ここが本を読んで一番はっきりしたところです。
オルカンと個別株はやり方が正反対です。それでもどちらも続いた理由は、どちらも「判断しない部分」を作っていたからでした。
| 投資 | 捨てた判断 | その結果 |
|---|---|---|
| オルカン | どの会社を買うか | 指数に任せたので、毎月自動で買える |
| 個別株 | いつ売るか | 5基準で選んだ会社なので、下がっても売らずに済む |
本が「タイミングを計るな」と繰り返すのは、判断を減らせという話でもあるのだと思います。判断の回数が多いほど、間違える回数も増えるからです。
売る条件を、株価以外に置いています
マロサは15年で、TOBや上場廃止以外の理由で売った銘柄がありません。
握力が強いわけではありません。売る条件を先に決めてあるだけです。
| 売る条件 | 理由 |
|---|---|
| TOBになった時 | 自分の意思では持ち続けられない |
| 優待が廃止され、かつ魅力が優待しかない時 | 買った前提そのものが消える |
| 上記以外 | 売らない |
ここで大事なのは、優待が廃止されても、配当が優秀なら売らないということです。優待は加点要素で、判断の本体は配当と業績にあります。
実際、東京海上には長く優待がありませんでした。それでも配当は12年で約6.9倍になっています。優待の有無で会社の価値は決まりません。
そしてこの3つの条件には、株価が1つも入っていません。 だから株価が下がっても、売るかどうかを考える必要がありません。悩まないので、握力が強いように見えるだけです。
マロナ
「握力は根性ではありません。売る条件を先に決めておくと、下がった日に考えることがなくなります。考えないから、握れるんです」
ただし「持ち続ければ報われる」わけではありません
ここを書かないと、この記事は都合のいい成功談になってしまいます。
ホンダは2024年7月31日の日銀ショックの直前に大きく買い増しました。そこから約2年間、ずっと含み損でした。会社も上場以来初の赤字に転落しました。含み益に転じたのは、つい先月です。
アスクルも含み損を抱えたまま持ち続けています。
ゼンショーが10.6倍になったのは、たまたまうまくいった例です。 うまくいかなかった例も同じだけあります。持ち続けたから全部報われたという話ではありません。
だからこそ、当ブログでは5つの基準を使っています。握力の前に、握るものを選ぶ必要があります。
| 基準 | 水準 |
|---|---|
| 自己資本比率 | 40%以上 |
| 営業利益率 | 7%以上 |
| ROE | 8%以上 |
| 配当 | 安定・増配傾向(減配しない) |
| 総合利回り | 3.5%以上 |
基準を満たさない会社を持ち続けても、時間は味方になってくれる可能性が低いです。時間が働くのは、働くだけの中身がある会社に対してだけです。
オルカンの積立を続ける気になりました
この本を読んで、行動として変わったことは1つだけです。オルカンの積立を、これまでよりも気楽に続けられるようになりました。
個別株は面白いです。決算を読み、基準で判定し、買い増しラインを決める。
その一方でオルカンは、何もすることがありません。 毎月自動で買われて、それだけです。正直なところ、地味です。
でもデータで「タイミングを計らず買い続けるのが最も勝率が高い」と示されているのは、この地味なほうです。何もしないことに自信を持てるようになったのが、この本の一番の効果でした。
本と食い違う部分は、そのまま続けます
個別株の「安い時に大きく買う」やり方については、本を読んでも変えないつもりです。
理由は、オルカンと個別株で判断できることが違うからです。
オルカンは全世界の株式の集まりなので、「今が高いか安いか」を自分で判断する材料がありません。だから判断せず、毎月買います。
個別株は5つの基準があるので、配当利回りから逆算して「この価格なら基準の内側」と言える。ENEOSの970円は利回り3.51%、ブリヂストンの3,571円は3.50%、東京海上の7,000円は3.50%。すべて基準から計算した価格です。
これはタイミングを計っているというより、基準を満たすまで待っているという感覚に近いです。データ上は一括投資が有利だと分かったうえで、それでも待ちます。
まとめ|判断を減らした人が、時間を味方につけられます

2011年、牛丼1杯のために1,099円で買った株が、2026年に11,590円になりました。約10.6倍です。配当も14円から80円へ増え、取得利回りは7.28%になりました。
『JUST KEEP BUYING』は、マロサのオルカン40%を肯定し、個別株60%には警告を出していました。方法が正反対の2つを同時に走らせているのに、どちらも15年続いた理由は1つです。
どちらも「判断しない部分」を作っていました。
オルカンは、どの会社を買うかを判断しません。個別株は、いつ売るかを判断しません。売る条件は先に3つ決めてあり、そこに株価は入っていません。
市場から退場しないというのは、根性の話ではないと思います。考えなくて済む仕組みを持っているかどうかです。
そして基準を満たす会社を選んでいれば、あとは時間が働いてくれます。1株も買い足さなくても、増配のたびに取得利回りは育っていきます。
マロナ
「知識は力、継続は自由。焦らず待てる人が、時間を味方につけられます。この本は、その理由をデータで説明してくれる1冊でした」
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や商品の売買を推奨するものではありません。記載した数値は2026年9月1日時点で確認できる公開情報および各社IR資料にもとづいていますが、正確性を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
なお、本記事に登場する「マロナ」は当ブログ独自のキャラクターであり、実在の企業・団体の公式キャラクターではありません。

